福岡県は、目標を持ち、たくましく生き抜く力を持つ子どもたちを育てる「アンビシャス運動」に取り組んでいる。運動では、家庭や地域、企業などで取り組むべき課題を「十二の提案」として掲げ、その一つに「地域ぐるみで子どもを育てよう」というのがある。
私たちが子どものころは、学年のへだてなくワイワイ、ガヤガヤと遊んだもの。そこには遊びのリーダーがいて、近くの店のおじさんをはじめ、子どもたちにいろんな話をする大人がいた。子どもは、地域の生活の中で社会性を身に付ける教育を受けていたのである。
しかし今、地域では子どもたちが自主的に集まり、しかも異年齢で遊ぶ光景は見られない。最近はコミュニケーション能力の不足が指摘され、自宅に引きこもって外に出たがらないケースまである。「遊びの不足が子どもたちの『切れる』原因ではないか」とさえいわれる。
そこで運動は、子どもたちが自主的に集まって遊び、地域の大人と触れ合う「アンビシャス広場づくり」を呼びかけ、県内六十二ヵ所の地域で広場づくりが既に始まっている。私も週末にはボランティア参加しているこれが実に楽しい。
週末も午後になると、近くの集会所には幼児から中学生まで二十―五十人が集合。ただ同級生同士では遊んでも、異年齢での遊びを呼びかけるリーダーは不在。「小さな子を遊んであげなさい」と言っても不器用だ。ルールを作ってゲームをするのも苦手。子どもたちの自主性に任せているが、ほとんど大人に遊びを用意してもらっていたらしく「おじちゃん、今度は何して遊ぶと?」と受け身である。遊びを作れるようになってほしい。
地域のコミュニティーは昔と大きく変わった。しかし、地域には子どもたちがほっとする居場所が必要である。これはみんなが感じていることではないだろうか。アンビシャス広場が県内に広がり、各地で子どもたちの歓声が聞けるように「おじちゃん」「おばちゃん」たちの知恵と力を借りたい。
福岡県生活労働部長 藤田弘毅