平成27年度 施政方針

太宰府市長  芦刈 茂

 本日ここに、平成27年第2回定例会を招集いたしましたところ、議員各位には大変ご多用の中をご参集賜り、厚く御礼を申し上げます。
 ここにご列席の議員各位におかれましては、4月26日執行の統一地方選挙におきまして、見事当選の栄に浴されましたことに対し、心からお祝いを申し上げます。
 私自身も、先の市長選挙におきまして、市民の皆様の御支援により、大役を担わせていただくこととなりました。大変光栄に存じますとともに、市長としての責任の重さを痛感し、身の引き締まる思いであります。
 私は、今回の選挙にあたり、「まちに新しい風を!かえよう太宰府!ハコモノ、ムダづかいにNO!市民の声を市政に活かす!中学校完全給食の実現!高齢者福祉のためのコミュニティーの充実!」などを掲げてまいりました。
 また「行財政改革を本気で先頭に立ってやりぬきます。徹底した情報公開と市民参加により、各分野別に基本計画を見直し、市民の意見が反映できる仕組みを作ります。  天下りや縁故人事ではない、市民のための行政を目指します。」と主張してまいりました。
 そして結果は、390票差という薄氷の勝利ではありますが、改革を掲げた私の当選となりました。市民は「改革」を選択したのです。私はその市民の選択、信託に応えるべく「改革」を実行、実現してまいります。
 しかし、その内容はかたよってはならず、10年後20年後のまちの未来に向けて、市役所が何をしなければならないのか、しっかり議論して「オール太宰府」で力を合わせて取り組んでいく所存です。二元代表制の一翼たる議員の皆様におかれましても、このことをご理解いただき、お互いに議論しながら、今後の市政運営を進めていきたいと考えております。

 さて、このたびの議会は、平成27年度の補正予算案をはじめ、重要施策並びに条例案をご審議いただく重要な議会です。
 議案提案に先立ちまして、今後の市政運営に臨む私の所信をご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。
 では、私の考える行政の課題とその改革の方向性について述べさせていただきます。
 まず、市役所の意識改革です。
 就任当日、市役所幹部職員に対する訓示の中で、「市民に対して、また、職員同士もあいさつをしっかりすることや、明日のために、今日何をするのか、しなければならないのかを考えて行動すること。」などをお願いし、「明るい市役所にして、自由に意見が言えて議論できる環境をまず市役所の中で作っていきたい。」と表明いたしました。
 このように、先ずは、職員一人一人の意識改革を進めることで、より良い行政サービスの提供に努めていきたいと考えています。
 次に、指定管理者制度についてですが、昨年3か所、今年度1か所の指定管理者を民間事業者から太宰府市文化スポーツ振興財団に変更しました。今後、この指定管理者をどのような形で選定していくのかを、運営方法や財政的な見地から十分に検討していきたいと考えています。
 また、外郭団体につきましても、太宰府市全体として、市民のためのさらなる福祉の向上を目指すためにはどうしたらいいのかを、相互に連携を図りながら協議検討をしていきたいと考えています。
 次に、第五次太宰府市総合計画の後期基本計画につきましては、各分野で市民の皆様のご意見を反映しながら策定していきたいと考えておりますが、特に、中学校完全給食の導入や松川運動公園・上下水道事業センターの有効活用、ルネサンス宣言の実現、行財政改革、観光推進、子育て支援、高齢者支援、渋滞インフラ整備等、山積する課題の解決を念頭に置いた計画として策定し、基本構想に掲げるまちづくりの実現に向けて努力していきたいと考えています。
 最後に、一番の課題は体育複合施設の建設問題だと思っています。
 この問題につきましては、私も議員時代から数多くの一般質問を繰り返してまいりましたが、アリーナの空調設備や移動観覧席など、予算の増額が見込まれる中で建設工事を進めています。
 また、建設にともなう予算の確保や工事契約などにつきましては、その時々に応じて議会の議決を得ながら進めているところでありますので、私は、この6月議会で議員の皆様と十分な議論を行い、7月には市民に対する説明を行いたいと考えております。

 それでは、本年度における市政運営の重点施策及び主要施策につきまして、「選挙公約」と「第五次総合計画」の施策に沿って概要をご説明申しあげます。

 第1の柱「健やかでやすらぎのある福祉のまちづくり」からであります。
 まず、「子育て支援の推進」の「子育て家庭への支援」についてであります。
子育て支援の拠点である子育て支援センターでは、子育てに関する情報提供、育児不安感などについての相談指導、親子が気軽に集うサロン、地域の子育てサークル・団体等への支援等の事業を行っています。今年度につきましても、移転新築した子育て支援センターを中心に子育て家庭への支援を行います。
 また、「保育サービスの充実」については、認可保育所の定員増に取り組み、ごじょう保育所の移転新築により110人の定員増を行いました。これにより、保育所の定員の合計は10施設1,238人となりました。今年度につきましては、ごじょう保育所にて新たに「一時預かり事業」を実施する予定です。
 次に、「高齢者福祉の推進」についてであります。
 まず、「地域づくりの推進」につきましては、自治会や民生委員を中心とした独居高齢者や高齢者のみ世帯に対する見守り活動を支援しています。今年度も継続して、緊急時等には地域包括支援センターを中心に安否確認等を行ってまいります。
 「地域包括支援センターの充実」につきましては、相談件数も増え、地域包括支援センターに配属された保健師、社会福祉士、ケアマネージャーに加え、各関係機関と連携を図りながら対応しています。今年度も引き続き、市内の居宅介護支援事業所の介護支援専門員との情報交換会を開催するなど、包括的・継続的ケアマネジメントが効率的に実施できるよう、関係機関とのネットワークづくりにも努めてまいります。
 なお、高齢者の皆さんの利便性を高めるため、6月にいきいき情報センター1階に移転します。
 次に、「障がい福祉の推進」についてであります。
 「生活支援の充実」としまして、障がい者手帳の交付対象とならない小児慢性特定疾患治療研究事業の対象児及び聴覚に障がいのある児童に対し、日常生活用具の給付及び補聴器購入の助成を行っています。今年度も引き続き「第3次障がい者プラン及び障がい福祉計画」に基づき生活支援の充実を図ってまいります。
 次に、「生涯健康づくりの推進」についてであります。
 「健康づくり支援の充実」につきましては、健康づくり啓発事業である「地域健康づく り推進事業」を全校区自治協議会で実施することができ、参加者も年々増加していま す。各校区自治協議会の主催であり、”健康づくりは地域で取り組んでいくこと”という意識づけにつながっています。今年度につきましては、健康診査やがん検診およびスポーツ教室等の対象事業に参加された方にポイントを付与し、商工会商品券と交換する元気づくりポイント事業を実施し、市民の健康づくりの応援、健康寿命を延ばすことにつなげていきます。

 次に、第2の柱「安全で安心して暮らせるまちづくり」であります。
 「防災・消防体制の整備充実」につきましては、全国瞬時警報システムや福岡県が提供する防災情報等メール配信システム「防災メール・まもるくん」を利用できる体制を整備し、災害時にサイレンやコミュニティ無線によって住民へ緊急情報を伝達できる防災体制の強化・充実を図りました。今年度につきましては、土砂災害特別警戒区域内の住民や障がい者への避難情報等の伝達のため電話・メール・FAXで一斉に連絡できる災害情報伝達システムを導入します。
 「防犯体制の充実」につきましては、犯罪発生の抑止効果が期待できる地域見守りカメラいわゆる防犯カメラや防犯灯を毎年、警察署との協議を参考に適所に設置し、防犯灯はLEDイヒにより明るさを向上させました。今年度も継続して防犯体制の充実を図ってまいります。

 次に、第3の柱「豊かな心を育みふれあいを大切にするまちづくり」であります。
 まず、「生涯学習の推進」についてであります。
 「生涯スポーツの推進」につきましては、市民の健康増進と親睦を目的として、体育の日の行事やペタンクカーニバル、サマーナイトペタンク、シニアスポーツ教室などの事業展開を行い、参加者も増加傾向で生涯スポーツの推進を図ることができました。 また、梅林アスレチックスポーツ公園を人工芝生化したことにより、多くの市民に活用していただいているところです。今年度も引き続き、スポーツ振興基本計画に基づき生涯スポーツの推進を図ってまいります。
 次に、「学校教育の充実」についてであります。
 「学校教育環境の向上」につきましては、太宰府東小学校、太宰府西小学校、太宰府中学校、太宰府西中学校の特別支援学級にエアコンを設置しました。今年度につきましては、校舎や学校内の関連施設の整備改修を計画的に行い、児童・生徒が安全に快適に過ごせる学習環境を整えるため、小中学校の普通教室及び使用頻度の高い特別教室にエアコンを設置します。また、中学校完全給食の導入に向けて、教育委員会と協議を進めてまいります。
 次に「文化芸術の振興」についてであります。
 「文化芸術活動の育成・支援」につきましては、文化芸術振興基本指針(ルネサンス宣言)を具現化するため、全庁的に文化芸術のまちづくりの推進を図っていくための取組みを行っています。平成26年度は、プラム・カルコア文化芸術振興事業として、「組踊」特別鑑賞会や公共ホール音楽活性化事業「フルートコンサート」、五木寛之文化講演会を開催しました。今年度も引き続き、優れた文化芸術に触れる機会を提供してまいります。

 次に、第4の柱「人と自然が共生する環境にやさしいまちづくり」であります。
 「循環型社会の構築」の「ごみの減量」につきましては、自主的に資源回収等に取り組んでいる市民団体の活動が広く市民に認知されており、多くの市民が利用されています。また、その活動は資源回収に留まらず、バザーやフリーマーケット、イベントにおけるごみの分別回収クリーンステーション等にも積極的に取り組むなど、ごみの減量はもとより、市民のリサイクル意識の高揚にも寄与しています。今年度も継続して、ごみの減量に取り組むとともに、リサイクルの推進を図ります。

 次に、第5の柱「魅力的な生活空間が整い産業が活気づくまちづくり」であります。
まず、「計画的なまちづくりの推進」についてであります。
 「市街地の整備」につきましては、平成21年度から継続してきた佐野東地区まちづくり懇話会の取組を受け、佐野東地区まちづくり構想検討委員会において構想案を策定し地元に提示しております。今後も実現に向けて地元と協議を進めてまいります。
 次に「地域交通体系の整備」についてであります。
 「生活道路の整備・管理」につきましては、社会資本整備総合交付金を活用して、関屋・国分寺線、水城駅・口無線などの道路改良、舗装補修工事、法面補修を実施することができました。今年度は五条口線、フケ・水城駅線などの改良工事を行います。
 「公共交通の利便性の向上と利用促進」につきましては、観光に起因する交通渋滞緩和策として、情報システムを構築しています。鉄道利用の促進を図るため、スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピューターを通じて駐車場満空情報やライブカメラによる道路状況を配信しました。今年度につきましては、歴史と文化の環境税事業として、交通渋滞対策を検討してまいります。
 次に、「産業の振興」についてであります。
 「商工業の振興」につきましては、個人事業主をはじめとした中小企業に対する経営指導等の事業活性化のための活動補助金を商工会に交付しました。また、中小企業事業資金融資制度により事業資金の融資を行い、中小企業の経営安定を図りました。今年度につきましても引き続き、商工業の振興を図ってまいります。
 「都市近郊農業の推進」につきましては、地産地消の推進として、耕作者に対しJAゆめ畑への出品を促進し、作付け意欲の向上と地元消費者への提供につなげています。今年度につきましては、兼業農家や零細農家の農業経営の継続を図るため、担い手の育成や米作と他作物の生産を組み合わせた都市近郊農業を推進します。

 次に、第6の柱「歴史を活かし文化を守り育てるまちづくり」であります。
 まず、「文化遺産の保存と活用」についてであります。
 「文化財整備の推進」につきましては、特別史跡水城跡について史跡を共有する大野城市および福岡県とで史跡整備協議会を運営し、「特別史跡水城跡保存整備基本設計」を策定しました。今年度につきましては、東門周辺の広場整備、ガイダンス施設整備のほか、地形復元に取り組みます。
 また、本年4月に文化庁から日本遺産の認定を受け、今後、様々な事業を展開していくことにしています。
 次に「観光基盤の整備充実」についてであります。
 「観光宣伝の充実」につきましては、滞留型観光の推進を念頭に置き、関係団体や関連組織との密な連携を図り、観光事業の実施、観光情報の発信、観光プロモーション活動等に取り組み、年間に約800万人の入込み客につながっています。今年度につきましても、国内外の旅行者に対し、関係団体と連携したきめ細かな情報発信に努めるとともに、各種観光協議会と連携を図りながら観光情報発信や国内外に向けて観光宣伝を行うことにより、観光客数の増につなげてまいります。
 「国際化にも対応した観光資源の整備」につきましては、観光シーズンにおける渋滞対策ならびに来訪者へのおもてなしとして、交通誘導や臨時駐車場設置、臨時仮設トイレ設置などを実施し、交通渋滞緩和と快適な観光の提供に寄与しました。今年度につきましては、4か国語標示の案内板の設置、回遊性向上のためICエコまちめぐりシステムによる観光情報の発イ言などにより、観光客の利便性を高め観光客数の増加及び滞留時間の延長にむすびつけてまいります。
 「太宰府ブランドの展開」につきましては、ブランド創造協議会において市民参加型のイベント「太宰府古都の光」や「ゆかたde太宰府」、「太宰府あれこれ10選」などの取り組みを行い、様々な地域遺産を市民、観光客に太宰府の魅力として創造し発信することで、地域の活性化につながっています。今年度につきましても、太宰府ならではの自然、歴史・文化、観光地、産業にある魅力を発信する取組を展開することで滞留型観光を進めてまいります。
 また、今後は観光推進のための基本計画の策定、基本組織の立ち上げについても検討していきたいと考えています。
 次に「国際交流・友好都市交流の推進」についてであります。
 「友好都市交流の推進」につきましては、平成14年に奈良市、平成17年に多賀城市、平成26年に中津市と友好都市の盟約を結び、相互訪問や観光情報の提供、文化団体や商工団体などの相互交流、市民政庁まつりや友好都市で開催されるイベントでの出展、広報活動など、さまざまな機会を通じて交流を進めています。今年度につきましては、多賀城市との友好都市締結10周年記念事業を行い、友好親善を深めます。

 最後に、第7の柱「市民と共に考え共に創るまちづくり」であります。
 まず、「市民参画の推進」についてであります。
 「自治基本条例の制定」につきましては、条例の制定に向けまちづくり市民会議・自治基本条例審議会を開催しています。今年度につきましても、市民参画による行政との協働のまちづくりを推進していくために条例制定にむけて取り組んでまいります。
 「地域コミュニティ活動への支援」につきましては、6つの校区自治協議会を設置し、それぞれの地域特性にあった活動を実施してもらうことにより、市民のコミュニティ活動への参加が増加し、地域コミュニティ活動が活性化しています。今年度につきましても、各校区自治協議会で地域住民が参加できるようなコミュニティ事業を実施することに より、住民の地域活動への参加を増やし、コミュニティの活性化を図ってまいります。
 次に、「情報の共有化と活用」についてであります。
 「行政情報の開示」につきましては、平成26年4月に、公文書館を開館しました。公文書館が開館する以前から広報に掲載していた「市史資料室だより」を、平成26年4月から「公文書館だより」として、記事を掲載しています。同時に、市ホームページに公文書館の特設ページを設け、さらにそのページに「電子展示室」を開設し、公文書館が所蔵する行政資料や地域資料をホームページ上にて展示しています。今年度も引き続き、公文書館の活用を図ります。
 次に、「市民のための行政運営」についてであります。
 「行政サービスの充実」につきましては、市民の利便性の向上のために市税や料金などを全国のコンビニエンスストアで納付できる体制を整備したほか、窓ロサービスにおいては、引き続き土曜開庁を行い、平成23年度からは市民課窓口付近にフロアマネージャーを設置するなどサービスの向上に努めました。今年度につきましても継続して行政サービスの充実を図ってまいります。
 「財政健全化の推進」につきましては、各起債の償還が終了し、さらに利率の高い起債を積極的に繰上償還したため、市債残高を減らすことができました。それに伴う公債費の減少、また指定管理委託などによる事務の効率化や人件費の抑制を行うことにより、着実に経営改善を実施しました。今年度につきましても引き続き、財政健全化を図ってまいります。

 以上、平成27年度の市政運営に臨む私の所信、並びに主要な施策と事業の概要について、ご説明申し上げました。
 現在、まち・ひと・しごと創生法に基づき、国においては急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、地方の人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圈への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことが喫緊の課題となっています。
 このような中、地方自治体においては、基礎的な地方公共団体として、地域の特色や地域資源を生かし、住民に身近な施策を実施することが求められています。
 今一度、申し上げますが、私は市民の選択、信託に応えるべく「改革」を実行、実現してまいります。10年後20年後のまちの未来に向けて、市役所が何をしなければならないのか、しっかり議論してオール太宰府で力をあわせて取り組んでいく所存です。二元代表制の一翼たる議会の皆様におかれましても、ご理解いただき、お互いに議論し進めていきたいと考えております。

 どうか、議員各位におかれましては、私の意とするところをお汲み取りいただき、予算案をはじめとする全議案に対し、慎重なるご審議のうえ、ご賛同賜りますよう重ねてお願い申し上げ、私の施政方針といたします。