太宰府市歴史と文化の環境税について(答申)
太宰府市税制審議会規則(平成13年規則第3号)第2条の規定に基づき、令和2年8月6日付2太税第166号にて諮問されました太宰府市歴史と文化の環境税条例附則第2項の適用期間に関して、太宰府市歴史と文化の環境税条例施行後における条例の施行状況、社会経済情勢の推移などを勘案し、同税がとるべき必要な措置について、慎重な審議を重ねた結果、下記のとおり答申します。
記
太宰府市歴史と文化の環境税(以下「歴史と文化の環境税」という。)は、平成15年に地方分権及び課税自主権の理念のもと、まちづくりのための財源として創設された法定外普通税である。このたび、6回目の検討時期を迎えるにあたり、太宰府市長からの諮問により審議を行った。
1 現状について
近年本市には多くのインバウンドの観光客が訪れ、昨年は新元号令和のご縁も頂き国内観光客も増加傾向にあったが、本年は一転新型コロナウイルスの影響で観光客が激減しており、歴史と文化の環境税の税収については不透明な部分が多い。
続けて、歴史と文化の環境税に関する意識調査(令和元年度実施)については、調査対象である来訪者、市民、駐車場事業者の意識の変化について、前回(平成28年度)及び前々回(平成17年度)調査と比較すると、来訪者、市民にはこの税に肯定的な意見が増え、駐車場事業者の中にもその傾向がうかがえた。
委員からは、この税は太宰府の環境に優しい歴史と文化の環境税であり、魅力あるまちづくりの財源づくりのために必要であるとの意見や、平成15年の創設以降、消費税が5%から10%になるなど社会経済情勢が著しく変化している中で大変苦労されている駐車場事業者もいるのではないかとの意見、これまでの間、歴史と文化の環境税の税収により様々な事業を実施して来られたのも関係者、特に駐車場事業者の協力によるものであり、市民として感謝の意を表するとの意見や駐車場事業者と行政がコンセンサスをもって事業を行ってほしいという意見などがあった。
2 使途について
歴史と文化の環境税を財源として実施された事業は、歴史と文化の環境税運営協議会での審議を経て決定されており、外部の視点が加わることにより、透明性が確保されるとともに、事業内容や予算について検証が行われている。
委員からは、個別の事業について更なる検証を行うべきであるという意見、市民が住み続けたい、来訪者がまた訪れたいと思えるまちづくりを実現するために有効的な活用を求めるという意見、渋滞対策にもっと活用するべきであるとの意見、渋滞対策は歴史と文化の環境税だけで解決できる問題ではないとの意見、歴史と文化の環境税を活用して様々な基盤整備を行ってきており、今後はその運用に関する事業を中心にするべきではないかとの意見、また、これからは歴史と文化の環境税を充当するべき事業を精査すべきではないかという意見などがあった。
3 制度について
税率については、現状のままで良い、下げたほうが良い、上げたほうが良い、など様々な意見が出たところである。また、有料駐車場の定義で課税の対象から除外されている駐車可能台数5台以下の駐車場及び年間10日以内の営業の駐車場である臨時的駐車場の取り扱いについて見直しを求める意見があった。
しかし、これらの議論は、税収などに多大な影響を与えることから、過去の審議経過など、さらには新型コロナウイルスによる駐車場利用者の今後の推移なども踏まえ、慎重に行うべきだという意見が出された。
適用期間については、社会経済情勢の変容を考慮して3年という意見が大勢を占めた。
4 結論
近年本市には多くのインバウンドの観光客が訪れ、昨年は新元号令和のご縁も頂き国内観光客も増加傾向にあったが、本年は一転新型コロナウイルスの影響で観光客が激減し、駐車場事業者をはじめ市民にも深刻な影響を及ぼしている。
そうしたなか、歴史と文化の環境税は創設以来18年が経過しようとしており、この間に3回実施された意識調査においては来訪者や市民からも肯定的に受け入れられてきており、委員からも様々な意見をいただきながら当初の制度を維持してきている。
その中には、制度的な見直しを含めた内容の検討を行う必要性についても指摘されてきたところであるが。検討に当たっては過去の審議経過などを踏まえ慎重に行う必要があるとの見解が示されてきたところである。
今回の審議会の中でも、適用期間の延長については一定の理解を得ている一方、税率については現状維持、引き下げ、引き上げなど様々な意見が出されている。
また、臨時的駐車場の取り扱いについても公平感をもった見直しについての意見が出されている他、事業内容を精査すべきではないかという意見も出されている。
一方で、令和発祥の都としての新たなまちづくりの必要性が求められてきたことや新型コロナウイルスの影響により税収が大きく減少する事が予想され先行きも見通せないなか。現時点で制度の変更について結論を出すことは困難である。
以上のことから、今回の諮問に対する審議結果としてはj歴史と文化の環境税を現状のまま3年間継続することが望ましいとの結論に至った。
なお、新型コロナウイルスの影響及び歴史と文化の環境税運営協議会による事業内容についての議論を踏まえつつ、税率や臨時的駐車場の取り扱いなどの議論を行い、歴史と文化の環境税がとるべき必要な措置について今後も税制審議会が開催されることを望むものである。