予備議案
地域医療充実強化に向けた自治体病院等の
医師確保対策及び財政支援措置について
(九州部会)
 地域医療の要諦である自治体病院(自治体診療所を含む。以下同じ。)や公的病院は、多くの不採算医療を担うことで地域医療のセーフティーネットとしての役割を果たしているが、医師の不足や偏在から小児科、産婦人科等の診療科が休診に追い込まれている。
 また、経営の健全化を図るなど懸命に努力しているものの、地方自治体単独では制度上・財政上の限界があり、問題を根本から改善することは極めて難しく、経営難から高度な医療機器の更新もままならない状況となっている。
 国においては、地域医療の充実強化を積極的に推進するとともに、地域医療の中核を担う自治体病院や公的病院の社会的使命が達成され、地域住民が安心して必要な医療を持続的に受けることができるよう、下記の事項について、特段の配慮をされるよう強く要望する。
    地域医療の中核を担う自治体病院や公的病院の経営基盤の安定を確保するため、特に高度・特殊医療、周産期医療、小児医療、救急医療、へき地医療、災害医療及び新興感染症への対応などに対して、地方交付税措置等の更なる充実強化を図ること。
    自治体病院や公的病院の消費税負担や資材高騰など建設コストの動向を踏まえ、病院建設改良に係る地方交付税措置の対象となる建築単価の更なる見直しを行うこと。
    医師の地域偏在・診療科偏在を解消するため、医師不足地域への一定期間勤務の義務付けや研修の必修化、診療科ごとの必要専門医数の養成など地域医療が適切に確保されるようにすること。
    新専門医制度の運用に当たっては、地域の実情を十分踏まえるとともに、国の責任において検証し、若手医師、女性医師及び指導医が地方にバランスよく配置されるよう、日本専門医機構等に対し、実効性のある対応を求めるなど、必要な対策を講じること。
    地域医療構想については、新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえ、今後の新興感染症に対して重要な役割を担う自治体病院等の再編統合を前提としたものではなく、地域の調整会議の結論を尊重し、取組を進めるに当たって生じている課題等を解決するため、更なる支援を講じること。
    新興感染症の発生時には、自治体病院や公的病院においては重要な役割を担うことから、新型コロナウイルス感染症への対応経験を踏まえ、感染状況に応じた医療提供体制の充実強化が図られるよう十分な財政措置を講じること。
    光熱費等の物価高騰の影響により、自治体病院や公的病院の事業経費が増大しているため、自治体病院や公的病院の安定的な運営を目的として、これらの経費に対して重点的な財政措置を講じること。
(説明担当市:えびの市)