|
会長提出議案 第5号 |
|
令和6年能登半島地震からの復旧・復興に関する決議(案) |
|
石川県をはじめ、新潟県、富山県、福井県において甚大な被害を及ぼした「令和6年能登半島地震」の発生から約5か月が経過しようとしている。 |
|
今回の地震では、1,500名を超える死傷者が出たほか、全壊、半壊などの住家被害は8万棟を超える大災害となった。液状化や隆起、土砂崩れによって道路は寸断され、上下水道は配管の破損で大規模な断水となるなどインフラやライフラインは深刻な被害を受け、都市機能は麻痺状態となった。また、能登地方では、沿岸部での津波の発生や市街地での火災などにより複合災害の様相を呈し、壊滅的な被害となった。さらに、地震による被害は広範囲に及び、各地で液状化現象により家が傾くなどの被害が発生しており、宅地被害は1万件を超えると見込まれている。 |
|
このような状況に対し、国においては、過去に発生した大地震の教訓を踏まえた「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」を取りまとめるなど、様々な支援が行われている。 |
|
しかしながら、地震活動は未だ活発で余震も続いており、山間部が多く険しい地形の能登地方においては、復旧作業に大幅な遅れが生じている。さらに、数千年に一度と言われる想像を絶する大規模な地盤の隆起の発生や広範囲にわたる液状化による被害は、想定を遥かに上回っている。 |
|
よって、国においては、被災地の状況をより的確に捉えるとともに既存の法制等にとらわれることなく、一日も早い被災者の生活再建や被災地の復旧・復興に向けた取組をさらに強化し、加速させるため、下記の事項について、万全の措置を講じるよう強く要望する。 |
|
|
記 |
|
1 被災者生活支援の強化 |
|
(1) |
食料品、飲料水、医薬品等の生活必需品について、被害状況や被災者のニーズを踏まえ、十分な量が安定的かつ継続的に供給されるよう、引き続き必要な措置を講じること。 |
|
|
|
|
(2) |
被災生活の長期化が懸念される中、被災者の心身の健康を維持するため、保健・医療・福祉サービスやメンタルケア等の必要な支援をより充実させること。また、被災者の置かれた状況に沿ったきめ細かいサービスが切れ目なく行えるよう、被災市町村への人的・財政的支援を充実すること。 |
|
|
|
|
|
|
|
2 生活と生業再建への支援 |
|
(1) |
被災者が住み慣れた土地に戻ってこられるよう、応急仮設住宅などの整備による被災者の住宅確保を迅速かつ確実に行うとともに、その入居にあたっては、地域コミュニティの維持等に十分配慮すること。また、住宅や宅地の応急修理などへの支援を行うこと。 |
|
|
|
|
(2) |
公費による家屋解体への技術支援や人的支援を行い、被災者の生活再建の加速化を支援すること。また、倒壊した空家については、「所有者不明建物管理制度」等を活用するなど、必要な措置を講じること。 |
|
|
|
|
(3) |
被災した子どもの学習や心のケア等に必要な支援を行うとともに、家計が急変した学生等の就学機会確保のための授業料等の減免や奨学金の拡充などへの支援を行うこと。 |
|
|
|
|
(4) |
被災した企業や地場産業、農林水産業等について、損傷した関連施設や機械等の設備の早期復旧を図るため、各種補助金や融資制度において特別枠を設けることや税制上の優遇措置を講じることなど、事業者や農林漁業者による経営再建を強力に後押しすること。 |
|
|
|
|
(5) |
被災地域における雇用が確保されるよう、事業者への財政措置を講じるとともに、事業者や労働者からの相談体制を整えること。 |
|
|
|
|
|
3 災害廃棄物の処理 |
|
災害廃棄物の広域処理に係る調整・支援及び被災した廃棄物処理施設の早期復旧のための支援を行うとともに、災害時における広域処理に係るかかりまし経費についても支援を行うこと。 |
|
|
|
|
|
|
|
4 公共施設等の早期復旧 |
|
(1) |
日常生活に不可欠な上下水道をはじめとしたライフラインについて、早期の全面復旧に向けて最大限の支援を行うこと。 |
|
|
|
|
(2) |
大きな被害を受けた道路、橋梁、市庁舎、鉄道、空港、港湾などの公共施設、医療関連施設及び文教施設などの早期復旧を図るため、最大限の支援を行うこと。また、被災した公共施設の解体についても、財政支援の対象とすること。 |
|
|
|
|
(3) |
梅雨や大雨等による洪水や土砂災害等の二次被害を防止するため、治山・治水対策を早急に実施すること |
|
|
|
|
|
|
|
5 観光産業復興に向けた支援 |
|
(1) |
継続的な旅行需要喚起策の実施やふるさと納税の活用などにより、被災地域の観光需要や経済活動の回復を図ること。 |
|
|
|
|
(2) |
被災した観光拠点や観光資源の再生に向けた復旧計画の策定やまちづくり、復旧後の誘客などの取組に支援を行うこと。 |
|
|
|
|
|
|
|
6 財政支援措置 |
|
(1) |
被災者の救援・救護、被災地域の復旧・復興、災害廃棄物処理、災害応援、行政機能の維持その他の災害対応に要する様々な財政需要を的確に把握し、十分な財政支援措置を講じること。 |
|
|
|
|
(2) |
財政支援にあたっては、被災地や被災者の分断に繋がることのないよう、公平・平等を期すこと。 |
|
|
|
|
|
|
|
7 原子力災害対策の見直し |
|
今回の地震を踏まえ、早急に「原子力災害対策指針」を検証し、適宜、見直しを行うとともに、地方自治体が策定する原子力災害対策に係る地域防災計画や避難計画の見直しに対して、支援を行うこと。 |
|
|
|
|
|
8 復興のまちづくり |
|
(1) |
被災地における復興に向けたまちづくり構想・計画の策定への支援を行うとともに、被災地のニーズに応じて、復旧・復興事業を行うために必要な応援職員について、中長期的な派遣を行うこと。 |
|
|
|
|
(2) |
被災地の各所で発生した液状化被害について、復旧に留まらず、再発防止の観点から、公有地・民有地の一体的な液状化対策を積極的に支援すること。 |
|
|
|
|
(3) |
住宅・建築物の耐震基準等を満たすための改修に対して、積極的に支援すること。 |
|
|
|
|
(4) |
今回の津波による被害や分析を踏まえた津波対策について、積極的に支援すること。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
以上決議する。 |
令和6年5月22日 |
全国市議会議長会 |
|