平成16年3月のある日ふと窓の外に目をやると約30mくらい先の宅地の庭にアンテナらしきものが立っている。アマチュア無線にしてはデカすぎるからいわゆる携帯電話の基地局かなと思っていたところ電話が鳴りました。
近くの人で「いきなり電波塔が建ったから調べてくれ!」、これが私と携帯基地局問題の出会いでした。
まずは業者さんに来てもらい話を聞きました。それによると立っているのはやはり携帯基地局で、近いうちに稼働する予定であること、建築基準法の規制を受けない高さであること、近隣への説明等は義務ではないことなどでした。
太宰府市は前年の7月に大雨があり私が住んでいる地域も大きな被害を受け、基地局が建った頃もまだまだ復旧や防災関連の工事が多くて、基地局がいつ建ったのかも分からなかった。そもそも電波塔が住宅街の中に突然できるなど誰も考えなかったし、影響の有無やどこに相談すればいいかなど何もわからなかった。
急いでネットや本で調べたり、市はもちろん国の機関にまで問い合わせをして携帯基地局についての問題を自分なりに整理していきました。その結果、基地局から発射される電磁波が人体に影響を与えるかもしれないこと、現在建設を制限するような法令や市の条例もないことなどを理解しました。
そこで電話をしてきた方のご自宅で業者さん(4名)と話し合いを持ち、「このあたりは乳幼児をはじめ子供が多く、学校にも近い。できればもっと山の上の方か、あまり民家のないところへ移設してほしい。」と訴えました。
これに対し業者さんは「我々は法を守っており、電磁波の強度も国の基準以下である。したがってそのような要望は受け入れられない」とのことでした。
この答えは現在に至るまで事業者と行政(市)が繰り返している決まり文句です。
その後いろいろありましたが、結局この基地局は地主さんが近隣住民の反応に驚き「話が違う」と解約・撤去を求め事業者もこれに応じて一件落着しました。
私はその後2度の基地局建設を巡るトラブルに関わっていく中で、何かしら紛争防止のルールが必要との思いを強くしていきました。
太宰府市内では各所で基地局に関する紛争が起きていますが、特に青山の太宰府東小学校近くの基地局については大きな問題となり、住民による議会への請願や署名運動が起き、現在も基地局側の校舎の窓に電磁波防護シールドを(自費・カンパで)貼りたいという父兄と、それをなかなか認めようとしない市・学校との間で対立が続いています。
|