全国市議会議長会研究フォーラム
松山市の「ひめぎんホール」で二日間行われ、約2700名の議員が参加しました。太宰府市議会からは9名の参加です。
初日は1部が片山善博氏(前総務大臣・慶唐義塾大学法学部教授)の基調講演、2部が佐々木信夫氏(中央大学経済学部教授)をコーディネーターにパネルディスカッションが行われました。
講演では「地方自治の課題と議会のミッション」として、@義務教育と議会、A「地域主権改革」と議会、B首長の「パフォーマンス」と議会の役割、C市民に開かれ、市民に信頼される議会、について述べられました。
@「義務教育と議会」で、特に興味深かったのは義務教育は自治体の最重要課題との論点から、「教育長をはじめとする教育委員の力量は十分か」、「教育現場の課題を議会はよく把握しているか」というところです。
教育委員の選任に最終的責任を持っているのは議会ですから、市長の人事(人選)に対しても議会において直接対象者から話を聞くなど、その適否について慎重に判断し、安易な同意は厳に慎むべきと感じました。
A「地域主権改革と議会」では、地域主権改革の経緯と議会の役割について話があり、改革の成果を具現化すること、現行制度のもとでも独自にやれることは多いことなどを確認しました。
B「首長のパフォーマンスと議会の役割」では、二元代表制と民意について議会は冷静かつ客観的に個々の政策を点検し、多様な意見を集約することが本質であり、議会情報を市民に的確に提供し、議会主導の自治体運営を目指すこと、執行部に頼らない議会運営を行うべきであることなどについて話がありました。
みな正論ですが後段の部分は現状として厳しいものがあります。
太宰府市議会も個人レベルではその意識をもって努力している議員が何人もいるのですが、全体としては提案条例を再議(三分の二)で潰されたように、執行部の追認機関の面が強い…。
C「市民に開かれ市民に信頼される議会」では、議会は市民の代表であり、首長へのすり寄り・与党化は市民から遠ざかることだ、と・・。その通りです。聞かせたい人が何人かいます。
「地方議会における政策形成の在り方について」をテーマに行われたパネルディスカッションでは、コーディネーターの佐々木氏の話が分かりやすくまとめられていました。
・戦後60年続いた機関委任事務制度下の地方議会は、政治の脇役止まり
・2000年の機関委任事務制度全廃で様相はガラリと変化
・結果として、知事、市町村長と各地方議会は対等な政治機関
→第1期 首長の諮問機関(明治憲法下)
→第2期 形式的な事務機関(戦後、機関委任事務下)
→第3期 実質的な立法権関(2000年改革後、地方分権下)
→地方議会は
@公共の決定者、A権力の監視者、B政策立案者、@民意の集約者、の4つの役割を果たすべき地方政治における主役である。
その上で、合議体としての強みを生かし自治体における議会の役割(課題設定、政策決定・評価)を果たして行くべき。
二日目のパネルディスカッションでは東日本大震災の被災地から3名の議長が出席され「大震災における議会の役割」として被災地の現状と議会の対応等について述べられ、改めて未曾有の国難であると理解しました。
行政機能もほとんど停止したまま、自らも家族を失った議員が被災者のために奔走された様子には言葉を失うとともに深い感銘を受けました。
南相馬市の議長からは国からの原発事故による避難指示等の状況が二転三転し、被災地が大変混乱したこと、議会としても放射能との戦いは始まったばかりで、世代を超えた長期的な戦いになるとの報告がありました。
ところで先日書いたように復興予算を掠め取り、ほとんど関係ないような事業に使うことについて、国会でも問題になっています。国民は復興のため増税もやむなしとしたのです。