総合体育館建設問題について
≪市の説明≫
@ 太宰府市体育複合施設建設基本計画(案)による概算事業費
項目 |
内容 |
費用 |
委託費 |
実施設計等 |
7,900万円 |
工事費 |
建築工事等 |
19億 1,705万円 |
用地費等 |
福岡県保健環境研究所用地費他 |
2億 900万円 |
その他 |
確認申請手数料等 |
543万円 |
計 |
22億 1,048万円 |
A 維持管理費
施設内容、規模及び運営状態により異なるが、類似施設では年間8,600万円〜
4,600万円で運営されている。
詳細については、建築設計競技の選定案を基に算定する。
B 市内各施設の平均利用率(%)
施設名 |
年間利用者 |
平日 |
土日 |
全体 |
午前 |
午後 |
夜間 |
午前 |
午後 |
夜間 |
体育センター |
44,987 |
59 |
78 |
81 |
71 |
81 |
65 |
74 |
南体育館 |
18,025 |
61 |
61 |
72 |
76 |
85 |
72 |
70 |
小学校体育館 |
年間利用者 |
平日 夜間 |
土日 |
全体 |
午前 |
午後 |
夜間 |
太宰府南 |
22,185 |
82 |
50 |
55 |
58 |
63 |
太宰府東 |
23,869 |
57 |
37 |
52 |
44 |
49 |
太宰府 |
33,863 |
73 |
62 |
53 |
49 |
60 |
水城 |
34,057 |
84 |
62 |
53 |
63 |
67 |
水城西 |
31,175 |
84 |
71 |
63 |
64 |
71 |
国分 |
30,180 |
68 |
67 |
59 |
42 |
59 |
太宰府西 |
37,728 |
71 |
75 |
64 |
57 |
66 |
中学校 |
施設 |
年間利用者 |
平日
夜間 |
土日
夜間 |
全体 |
太宰府東 |
体育館 |
16,780 |
82 |
60 |
70 |
武道場 |
7,040 |
48 |
21 |
36 |
太宰府 |
体育館 |
16,624 |
80 |
57 |
70 |
武道場 |
8,452 |
66 |
70 |
67 |
学業院 |
体育館 |
15,024 |
68 |
54 |
62 |
武道場 |
10,171 |
72 |
27 |
52 |
太宰府西 |
体育館 |
12,618 |
65 |
50 |
58 |
武道場 |
10,667 |
78 |
40 |
59 |
≪以下、門田≫
【 経緯 】
平成11年の「建設を求める請願」の採択に続き、平成21年に「建設を求める要望書」が体育協会から提出されました。
市は「スポーツ振興審議会」への諮問、「建設調査研究委員会」の設置・諮問を行い、その答申を受け「太宰府市総合体育館建設委員会」が設置され「看護学校跡地」を建設用地の第1候補とし、平成24年3月議会に同施設の実施設計を含む当初予算を上程しました。
しかし議会では各議員から疑問が噴出し、執行部もこれらに的確に答えることができなかったため、実施設計分を不要とする減額修正案が提出されました。
予算特別委員会では同案を様々な観点から慎重に審議し、賛成多数で可決すべきものとしましたが、これに対し市は議長へ臨時の全員協議会開催を要望し、同協議会の中で井上市長は「予算案の修正を元に戻して欲しい」と驚きの要求を行いました。
結局同案は本会議最終日に賛成10名、反対7名で可決されました。
6月議会では減額分復活の補正予算を市が提出しましたが、同様の分かれ方で否決され、これを受け井上市長は「早期の建設は断念する」と自ら宣言しました。
ところが12月議会で、今迄減額の立場だった一部議員から減額分を復活させる補正予算修正案が議員発議で出され、賛成9名、反対6名(棄権2名)で可決しました。
この平成24年12月議会の結果により市は計画を進め、今月2日の総合体育館建設問題特別委員会で資料配付された建設基本計画(案)によると、今後の予定は7〜9月にパブリックコメント、9〜11月に建設設計競技、10〜3月に実施設計、来年3月から発注準備、5月から造成工事、9月から本体建設工事で、平成27年度に供用開始としています。
【 問題点・疑問点 】
1. |
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22億円の建設予算の大部分が借金で、さらに毎年数千万円の管理費がかかる。
また10年ぐらいのスパンで大規模改修・補修の費用も必要と思われ、市民に大きなツケが回ってくる。施策の優先順位が違うのではないか。 |
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2. |
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現在太宰府市には屋内体育施設として体育センターと南体育館があり、さらに新たに取得した国士舘大学跡地には1600uを超える体育館がある。
あわせて小中学校の体育館・武道場も開放されているが、執行部の説明によると、これらの体育館使用率は飽和状態という。
しかし基本計画に添付された資料(表B)を見る限り、最も利用率が高い箇所でも85%であり、とても「飽和状態」とはいえない。
建設そのものが本当に必要なのか疑問である。 |
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3. |
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現在大きな規模の大会は近隣市や福岡都市圏の体育館を使っている。
また今まで県民体育大会の指定競技開催地となったこともあるが、市内の中学校、高校の体育館に分散して行った。
いずれにしても1ヶ所だけではできない。 |
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4. |
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中学校体育館などは老朽化が進んでおりこちらが先ではないか。
小学校も改善を要する点が山積している。 |
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5. |
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防災の拠点、避難場所としても位置付けるとのことだが、平成15年7月の大雨では御笠川・鷺田川の氾濫で付近一帯が水没している。
市が言う避難施設には適さないのではないか。 |
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6. |
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体育館建設の大きな目的に中規模の大会の開催とあるが、洗出交差点から踏切、佐野地区にかけては渋滞が慢性化している。
土日や大会開催とプール利用が重なったときは大混乱するのではないか。 |
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7. |
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市民の健康増進というが、市民の多くは近くの公園や近所の散策等で健康づくりをしている。わざわざ体育館にくる人はいない。 |
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8. |
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市長は体育館建設理由の説明の時は必ず平成11年の請願と陳情を挙げ、「2320名の多くの市民が…」という。
しかし一方では太宰府東小学校横の基地局問題では2532名の署名に対し「一部の市民…」と切り捨てている。 |
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9. |
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平成24年6月に市が議員に配付した資料には「屋内スポーツ施設の現状」として近隣3市と利用者数を比較した表を載せ「太宰府市の施設の充実度は近隣市の平均を大きく下回っている」と結論付けている。
しかし同資料によると大野城市のコミュニティセンター利用者は10万人を超えている。 市の説明では「市民一人当たりの年間利用回数は4市平均1.40回に対し、太宰府市0.89回であり平均を大きく下回る」としているが、コミュニティセンター利用者を除けば大野城市の利用回数は1.03回で4市平均は1.08回となり「大きく下回る」とはいえない。
一般市民は「総合体育館」ではなくコミュニティセンターのような生活に身近な施策を望んでいる。 |
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10. |
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同じ資料に「本市の運動・スポーツ公共施設満足度」というグラフが載っているがアンケートの回答者は120名程であり、これを以て7万市民の意思を量ることはできない。またその後同様の調査はなされていない。 |
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11. |
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建設基本計画では「総合体育館から体育複合施設へ」として「中高年の憩いの場」、「育児サポートの場」あるいは「子どもと中高年のふれあい」などと記載されているが具体的な説明がなく、言葉だけの羅列と感じる。
平成18年に県と交わした売買契約書の第5条(用途指定及び転売の禁止)では「乙(太宰府市)は、契約締結の日から10年間、売買物件を体育施設、社会福祉施設、防災施設の用に供するものとし、(以下略)」とあることから、福祉・防災を後付け理由として挙げたと考える。 |
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12. |
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10年後にはこの計画を進めた市の幹部は誰も残っていないし、現市長もいないと思う。
議決した議員で残っているものはわずかで、責任を取る者がいないことになるだろう。
市長は「国から補助金をもらう」と言っているように仄聞するが、議会に対し具体的な説明はない。また信じられない。 |
【 結論 】
総合体育館の建設を望む市民がおられることは十分に承知しています。
しかし厳しい財政事情の中、総合体育館の建設、国士舘大学跡地の購入、五条保育所の移転と子育て支援施設の建設等と大型の出費(借金)を続けていき、もしまた平成15年のような大きな災害に襲われれば取り返しのつかないことになりかねません。
せめて本体部分の建設費が賄えるだけの基金を積み立て、その間どのような施設が望ましいのか市民を中心に十分議論すべきです。
議会は合議体であり最終意思は議決です。 賛否の現状を変えることは困難と感じていますが、同体育館が太宰府市の墓石とならぬよう、反対を続けたいと考えています。